今井 剛樹

准教授

今井 剛樹

研究課題: 時間反転対称性を破るトポロジカル超伝導体の輸送現象,遷移金属酸化物からなるヘテロ構造の界面状態などに対する理論的研究

キーワード: 強相関電子系,トポロジカル絶縁体・超伝導体,第一原理計算,ヘテロ構造・超格子

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今井 剛樹

 

研究の背景

 物質には1立方センチメートルあたりおおよそ1億×1億×1億個という莫大な原子が含まれています。そこでは原子を構成する電子,原子核などの要素が単独ではなく,それらが相互作用することにより超伝導,磁性,半導体など物質の様々な個性を作り出しています。特に電子は物質の性質に強く影響を及ぼしますが,それらの電子の集団の量子力学的性質を記述するバンド理論は,金属(導体)と絶縁体の違いをエネルギーギャップ(バンドギャップ)の有無により明確に分類し,半導体物理学の大きな進展をもたらしました。ところが,近年ある物質群ではバンドギャップを持ちながら試料端で金属(導体)になり,さらに通常の金属とは異なり混入した不純物などの影響を受けにくいという顕著な性質を示すことが報告されました。そこでは対象の連続変形に対する不変な性質を扱う数学の分野であるトポロジー(位相幾何学)の概念と物質の状態とが結びついていることが明らかになっており,物質科学におけるトポロジーの概念の重要性が注目されています。

研究のねらい

 このようなトポロジーの概念がその性質に寄与するような物質(トポロジカル物質)では,バルクではトポロジカル不変量という整数値のみを取りうる量により状態が指定され,それは試料端にギャップレスエッジ状態を作ることに対応します(バルク・エッジ対応)。そのため試料端の情報とバルクの情報とが強く関連しており,どちらか一方の情報を得ることが出来れば,もう一方についても知ることが出来るようになります。例えば銅酸化物高温超伝導体などに代表される異方的超伝導体表面で見られるギャップレス状態(アンドレーエフ束縛状態)について,トポロジカルな観点からその出現の有無を系統的に知ることができ,超伝導状態の理解に貢献できます。このようにトポロジーという新たな切り口で物質を眺めることは,その性質の詳細を掘り下げることができ,さらにこれまで知られていなかった性質を見出せる可能性を秘めています。

目標と戦略

 時間反転対称性を破るトポロジカル超伝導体や遷移金属酸化物からなるヘテロ構造の界面状態などに対し,微視的観点からミクロなメカニズムや電子相関効果との関連性などの解析およびその整理分類を進め,理論的立場から応用への橋渡しをすることを目標としています。実際には相互作用する多粒子系を厳密に扱うことは通常極めて難しいため,ターゲットである系の本質を抜き出した簡略化された模型(有効模型)をまず構築し,得られた有効模型に対して平均場近似,摂動論,くりこみ群などの解析的手法や,計算機による数値シミュレーション手法を適用して詳細に解析していきます。また同時に定量的解析手法である第一原理計算手法なども随時活用することにより,理論的な立場から核心にアプローチしていきます。

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